家族介護の活用が介護業界の人材不足の鍵
高齢化が進む日本において、介護問題は大きな社会的関心事となっています。親や兄弟、配偶者が存命である以上、誰にでも起こりえる問題です。実際、在宅介護サービスを受けたことがある人は約373万人、施設に入所してサービスを受けた人は約94万人とされており、多くの人が何かしらの形で介護サービスを受けています。この数値は年々増加傾向にあり、少子高齢化が進む日本においては、介護業界全体としても、年々増え続ける要介護者への対応が行いきれていない状況であり、人材不足が業界全体が抱える課題となっています。この問題に対しては、個別の企業のみの自助努力だけでは、解決が難しいため、国や自治体も協力して環境の改善に向けて対応が進められている状況です。
一例をあげると、本人や家族の意向、経済的な事情から各種介護サービスを全く利用しない家族だけで介護を行う家族介護世帯に対して年数万円から数十万円の経済的な支援などが行われています。すべての世帯において、家族介護を行うことは現実的ではない以上、家族介護の可能な範囲での推進が人材不足を抱える介護業界においては有効な打ち手の一つです。なお、経済的な支援以外にも介護技術のサポートを行っている自治体もあるなど、様々な形で家族介護を行っている世帯へのサポートが行われています。このように、介護業界として、うまく介護サービスと家族介護を共存させていくことが、今後、要介護者の数が劇的に減少するということは考えにくい介護業界においては重要と言えます。